介護記録の書き方ガイド — 新人でもできる正確な記録のコツ
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介護記録は「書くのが苦手」で終わらせてはいけない理由
介護の仕事始めて3ヶ月。身体介助は少しずつ慣れてきたけど、記録だけは毎回つらい。何を書けばいいかわからないし、先輩の記録見ても自分には同じように書けない。「記録は大事」って言われるけど、書き方を丁寧に教えてもらった記憶がない。 — Xユーザー(介護職・20代女性)2026年3月
記録に苦手意識を持つのは、あなただけではありません。新人なら誰もが通る道です。
ただ、介護記録は事務作業ではなく、利用者のケアを支える情報共有ツールです。あなたが書いた記録は、次のシフトの職員が読み、ケアマネがケアプランの見直しに使い、看護師が健康管理の判断材料にします。場合によっては行政の監査でも確認されます。記録の質は、そのままケアの質につながります。
厚生労働省「介護サービス情報公表制度」(出典: 介護サービス情報公表システム)では、介護事業所に対して適切な記録の作成・保管を義務づけています。
この記事でわかること:
- 介護記録の基本ルール(5W1H)
- 場面別の具体的な例文(バイタル・食事・排泄��入浴・精神状態)
- 避けるべきNGワードと言い換え表現
- 電子記録を効率よく書くコツ
介護記録の基���ルール——5W1Hで書けば迷わない
介護記録は**「5W1H」のフレームワーク**に沿って書けば、必要な情報が漏れなく入ります。「何から書こう」と迷ったら、まずこの6要素から手を動かしてみてください。
5W1Hの各要素
| 要素 | 意味 | 記録での役割 | 例 |
|---|---|---|---|
| Who | 誰が | 利用者名(主語は利用者) | 「田中様が」 |
| When | いつ | 日時 | 「14時30分に」 |
| Where | どこで | 場所 | 「食堂で」 |
| What | 何を | 何が起きたか | 「食事を8割摂取された」 |
| Why | なぜ | 原因・背景(わかる範囲で) | 「『お腹が張る』との訴えがあり」 |
| How | どのように | 対応内容 | 「看護師に報告し、経過観察とした」 |
記録の3原則
原則1: 客観的事実を書く
記録に書くのは「見た事実」「聞いた言葉」「測定した数値」です。記録者の感想や推測は区別して記載します。
| NG(主観) | OK(客観) |
|---|---|
| 機嫌が悪そうだった | 「頭が痛い」と訴えがあった |
| 食欲がなかった | 昼食を3割程度残された |
| 落ち着かない様子だった | 15分間で4回立ち上がり、廊下を歩かれた |
原則2: 主語は利用者
記録の主語は介助者(自分)ではなく利用者です。「○○した」ではなく「○○された」「○○を行われた」と、利用者を主語にして書きます。
| NG(主語が職員) | OK(主語が利用者) |
|---|---|
| トイレに誘導した | 声かけに応じ、トイレに向かわれた |
| 入浴させた | 入浴され、「気持ちいい」と笑顔を見せられた |
原則3: 具体的な数値・量を使う
「少し」「たくさん」「普通に」といった曖昧な表現は、人によって解釈が異なります。
| 曖昧 | 具体的 |
|---|---|
| 水分をよく飲まれた | 水分をコップ3杯(約450ml)摂取された |
| 少し食べた | 昼食を3割摂取された(副菜のみ完食) |
| しばらく歩いた | 廊下を約20m、歩行器を使用して往復された |
先輩に「記録は次の人への手紙だと思って書くといいよ」って言われてから、書き方が変わった。「この人が読んだとき、何が起きたか・どう対応しておきたいか伝わるか?」って考えるようにしたら、自然と具体的に���けるようになった。 — Xユーザー(介護福祉士・30代男性)2026年4月
���面別の例文——コピペして使えるテンプレート
よく書く場面にはパターンがあります。以下の例文をベースに、具体的な数値や利用者の言葉を当てはめてみてください。
バイタルサイン記録
【バイタル】10:00計測
体温36.4℃、血圧132/78mmHg、脈拍72回/分、SpO2 97%
本人より「体調に変わりない」との訴えあり。
前回(4/25)と比較し、血圧がやや高め。看護師に報告済み。
食事記録
【昼食】12:15~12:40
主食:全量摂取、副食:8割摂取(煮物を2割残される)
水分:お茶150ml摂取
「煮物が硬くて噛みにくい」との訴えあり。
栄養士に食形態の相談予定。
排泄記録
【排泄】14:20
トイレにて排尿あり。量:普通量、性状:淡黄色、混濁なし。
声かけに応じ、歩行器を使用して居室からトイレまで自力で移動された。
立ち上がりの際にふらつきあり、手すりにつかまっていただく。
入浴記録
【入浴】15:00~15:25
一般浴にて入浴。洗体・洗髪は一部介助(背中・下肢)。
湯船に浸かり「あったかくて気持ちいい」と笑���を見せられる。
皮膚の状態確認:左臀部に発赤あり(直径約2cm)。看護師に報告済み。
精神状態・行動の記録
【行動】16:30��17:00
夕食前に不穏な様子がみられ、廊下を繰り返し歩かれる(約30分間)。
「家に帰りたい」と繰り返し訴えられる。
職員が隣に座り傾聴。15分ほどで落ち着かれ、食堂に移動される。
夕食は通常通り摂取された。
避けるべきNGワードと言い換え表現
介護記録では利用者の尊厳を守る言葉選びが大切です。無意識に使ってしまいがちなNGワードを確認し、言い換え表現を身につけましょう。
NGワード一覧と言い換え
| NGワード | 問題点 | 言い換え |
|---|---|---|
| 徘徊 | 認知症基本法で不適切とされる | ひとり歩き、外出行動 |
| 問題行動 | 利用者を否定する表現 | 行動・心理症状(BPSD) |
| 不穏 | 曖昧。何が起きたか不明 | 具体的な行動を記述(例:「廊下を15分間歩き続けられた」) |
| わがまま、頑固 | 人格否定 | 「○○を希望された」「○○を拒否された」 |
| ボケ、認知 | 差別的表現 | 認知機能の低下がみられる |
| 汚い | 利用者の尊厳侵害 | 「排泄物による汚染あり」 |
| させた(食べさせた等) | 利用者の主体性を無視 | 「摂取された」「行われた」 |
出典: 厚生労働省「認知症施策推進大綱」(2019年)における表現ガイドラインを参考
「事実」と「判断」を分ける書き方
記録者の判断や推測を書くこと自体はNGではありませんが、事実と明確に区別して記載します。
【事実】田中様、昼食の主食を2割のみ摂取。副菜は手をつけられず。
「お腹がすかない」との訴えあり。
【考察】昨日の夕食も5割残しのため、食欲低下の傾向あり。
看護師・栄養士に共有し、経過観察とする。
記録に「不穏」って書いてたら先輩に「何がどう不穏なの?次の人がわからないよ」って指摘されてハッとした。それから「不穏」は使わず、何が起きたかを具体的に書くようにした。記録の質が全然変わった。 — Xユーザー(���護職・20代男性)2026年2月
電子記録を効率よく書くコツ——時間がないときの工夫
記録に使える時間は限られています。短時間で正確に書くための工夫を4つ紹介します。
コツ1:介助直後にメモを取る
ポケットに小さなメモ帳やメモ用紙を入れておき、介助の直後に3~5単語のキーワードを書きます。
メモ例: 「14:20 / トイレ / 歩行器 / ふらつき / 手すり」
これを後でまとめて記録に展開するだけで、記憶のズレや漏れを防げます。
コツ2:テンプレートを活用する
多くの電子記録システムには、バイタル・食事・排泄などのテンプレートが用意されています。テンプレートの定型部分はそのまま使い、個別の変化や特記事項だけを追記する方法が最も効率的です。
コツ3:「変化があったこと」を優先する
すべてを均等に記録する必要はありません。「いつもと違うこと」「変化があったこと」を優先して記録します。
優先して記録しておきたいこと:
- バイタルの変動(普段と比べて血圧が高い/低い等)
- 食事量の変化
- 新たな訴えや症状
- 転倒や体調不良のエピソード
- 利用者の発言(特に体調に関するもの)
コツ4:音声入力を活用する
タブレットやスマートフォンの音声入力機能を使えば、手で打つより素早く記録できます。「田中さん、14時20分、トイレ、歩行器使用、ふらつきあり」と話しかけるだけで入力が完了します。
次の一歩——今日の記録を5W1Hでチェックする
記録の書き方に正解は一つではありません。それでも「5W1H」「客観的事実」「具体的な数値」の3つを意識するだけで、記録の質は格段に上がります。
今日できること:
- 今日書いた記録を1件、5W1Hの観点で読み返す: 抜けている要素はないか
- NGワード一覧を手元に置く: 無意識に使っている表現がないかチェック
- 先輩の記録を1件読み、良い表現をメモする: うまい書き方はそのまま真似する
記録の書き方も含めた新人の悩みについては「介護職のストレス対処法7選」���幅広く解説しています。介護の仕事に慣れてきたらステップアップとして「サービス提供責任者の仕事と役割」もご覧ください。
介護の資格を取得して記録の専門知識を深めたい方は「介護職員初任者研修の費用と安く受ける方法」を参考にしてください。
記録スキルを含め、介護職としてのキャリアに不安がある方は、専門のキャリアアドバイザーに相談できる転職サービスも活用できます。
記録の書き方を意識するようになってから、利用者さんの変化に気づく力もついた。「記録を書くために観察する」んじゃなくて、「観察できるようになったから記録が書ける」。順番が逆だったことに気づいた。 — Xユーザー(介護福祉士・30代女性)2026年4月
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まとめ
介護記録は「面倒な作業」ではなく、利用者のケアを支える情報共有の要です。5W1Hのフレームワーク、客観的事実の記述、具体的な数値の活用——この3つを軸にすれば、新人でも正確な記録が書けるようになります。NGワードを避け、利��者の尊厳を守る表現を使うことも忘れずに。「次の人への手紙」だと思って書く。その意識が、記録の質を変え、ケアの質を変えます。
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