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介護休業と介護休暇の違い — 93日と5日をどう使い分ける?
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「93日も休めない」と諦める前に — 介護休業と介護休暇は別物
親が倒れて、会社で「介護休暇あるよ」って言われたから5日取った。でも全然足りなくて結局有休も使い切った。後で介護休業っていう93日の制度があるって知って、なんで誰も教えてくれなかったの…って泣いた。 — Xユーザー(会社員・40代女性)2026年4月
この投稿のように、「介護休暇」と「介護休業」を混同したまま、片方だけで乗り切ろうとして消耗するケースは少なくありません。
名前は似ていますが、期間も給付金も使う場面もまったく違う、別の制度です。違いを知らないだけで選択肢を半減させてしまうのは、あまりにもったいない。
本記事では、介護休業(93日)と介護休暇(年5日)の違いを比較表で整理し、通院付き添いから看取り期まで5つの使い分けパターンをまとめました。
この記事でわかること:
- 介護休業と介護休暇の違いが一目でわかる比較表
- 介護休業(93日)の使い方と給付金の仕組み
- 介護休暇(年5日・時間単位)の活用シーン
- 5つの実例で見る使い分けパターン
- 申請の流れと不利益取り扱いを防ぐポイント
結論:介護休業と介護休暇は「使う場面」が違う
**結論から言うと、介護休業は「体制をつくる長期休み」、介護休暇は「日常をしのぐ短期休み」**です。両方とも育児・介護休業法に基づく労働者の権利で、別々にカウントされます。
まずは違いを比較表で整理します。
| 項目 | 介護休業 | 介護休暇 |
|---|---|---|
| 期間 | 対象家族1人につき通算93日 | 年5日(対象家族2人以上なら年10日) |
| 取得単位 | 連続した期間(最大3回分割可) | 1日 または 時間単位 |
| 給付金 | 雇用保険から賃金の67% | 法律上の支給なし(会社規定により有給/無給) |
| 申請時期 | 開始予定日の2週間前までに書面 | 当日の口頭申出も可(会社による) |
| 主な用途 | 退院後の在宅準備、施設探し、看取り | 通院付き添い、ケアマネ面談、役所手続き |
| 対象家族 | 配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫 | 同左 |
| 対象労働者 | 雇用保険加入者(パート・契約社員も可) | 全労働者(日々雇用は除く) |
出典: 厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし」 / 厚生労働省「介護休業制度特設サイト」
ポイントは3つです。
- 両方とも法定の権利 — 会社の制度ではなく、法律で全企業に義務付けられている
- 別カウント — 介護休暇を5日使い切っても、介護休業93日には影響しない
- 目的が違う — 短時間の用事に休業を使うのは過剰、長期対応に休暇だけで挑むのは無謀
つまり、「どちらを使うか」ではなく**「両方を組み合わせてどう使うか」**が正解です。
介護休業(93日)の正体 — 体制をつくるための時間
介護休業は、対象家族1人につき通算93日まで、最大3回に分けて取得できる長期休業です。厚労省は「介護の長期方針を決めるための期間」と位置づけています。家族が介護をすべて抱え込む前提の制度ではありません。
対象になる人と家族の範囲
介護休業を取得できるのは、雇用保険に加入している労働者です。正社員だけでなく、パート・契約社員・派遣社員でも取得できます。ただし、以下の条件は確認しておきましょう。
- 入社1年未満の労働者は労使協定で除外されている場合がある
- 日々雇用される労働者は対象外
- 申出時点から93日経過後、6か月以内に契約期間が満了し更新されないことが明らかな有期雇用労働者は対象外
対象家族は次のとおりです(祖父母・兄弟姉妹・孫の「同居・扶養」要件は2017年改正で撤廃済み)。
配偶者(事実婚を含む)、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫
介護休業給付金は賃金の67%
介護休業中は会社から給与が支払われないのが一般的ですが、雇用保険から「介護休業給付金」が支給されます。
- 支給額: 休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%
- 支給対象: 介護休業開始日前2年間に賃金支払基礎日数11日以上の月が12か月以上ある被保険者
- 非課税 かつ 社会保険料免除なし(健康保険・厚生年金は通常どおり徴収)
月給30万円なら、月あたり約20万円が支給される計算です。給付金は非課税のため、手取りベースでは通常勤務時の約8割になるケースもあります。
出典: 厚生労働省「育児・介護休業法について(介護休業給付)」
3回まで分割できる「使い切らない使い方」
2017年の改正で、93日を最大3回に分けて取得できるようになりました。これが介護休業の最大の強みです。
- 第1回: 急な入院から退院・在宅環境準備(30日程度)
- 第2回: 在宅介護開始から事業所との連携が安定するまで(30日程度)
- 第3回: 看取り期や状態急変時(33日程度)
「93日続けて休む」発想ではなく、節目に分けて使うことで、職場復帰のタイミングを作りながら長期戦に備えられます。具体的な分割パターンは以下の記事で詳しく解説しています。
→ 介護休業の取り方完全ガイド — 93日を「3回に分けて」使う賢い方法
介護休暇(年5日)の正体 — 日常をしのぐ短時間休み
介護休暇は、要介護状態にある対象家族の介護や世話のために取得できる、年5日(対象家族2人以上なら年10日)の短時間休暇です。介護休業とは別物で、こちらも法律で定められた権利です。
取れる人・取れない人
介護休暇は全労働者が対象です(雇用保険加入の有無は問いません)。ただし、以下の労働者は労使協定により除外できる定めがあります。
- 入社6か月未満の労働者
- 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
- (時間単位取得の場合)業務の性質や実施体制から困難な労働者
「パートだから取れない」と思い込んでいる方が多いですが、所定労働日数が週3日以上で6か月以上勤務していれば、原則として取得できます。
出典: 厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし(介護休暇)」
1日休む必要はない — 時間単位で取れる
2021年1月の法改正で、介護休暇は時間単位でも取得可能になりました。これは知らない人が圧倒的に多いポイントです。
- ケアマネジャーとの1時間の面談 → 1時間取得
- 午前中だけの通院付き添い → 4時間取得
- 役所での介護保険申請 → 2時間取得
会社にもよりますが、「中抜け」(午前出勤→中抜け→午後出勤)を認めるかは会社の選択であり、法律上は始業時刻からの連続または終業時刻までの連続で使えれば問題ありません。
介護休暇が時間単位で取れるって知らなかった。半休とか有休でやりくりしてたけど、ケアマネ面談の1時間だけのために半日潰してたのアホらしすぎる。人事に聞いたら「あ、できますよ」って。最初から教えてくれよ… — Xユーザー(会社員・40代男性)2026年5月
給与は出る?出ない?
介護休暇中の賃金については、法律上は無給でも違法ではありません。ただし、会社の就業規則によって以下のパターンに分かれます。
- 有給(賃金100%支給)
- 一部有給(基本給のみ支給など)
- 無給(その日の賃金は控除)
厚労省「2022年度雇用均等基本調査」では、介護休暇制度を就業規則で定める事業所は約7割。そのうち有給扱いは約3割にとどまります。
事前に就業規則の「介護休暇」の項目を確認しておくと、給与計算で慌てずに済みます。
5パターンで見る使い分け実例
ここからは、実際の介護シーンでどちらをどう使うかを5つのパターンで整理します。あなたの状況に近いものから読んでみてください。
パターン1:通院の付き添いだけが必要
おすすめ:介護休暇(時間単位)
月1〜2回の通院付き添い、薬の受け取り、リハビリの送迎など、半日以下で終わる用事は介護休暇の時間単位取得が最適です。介護休業を使うと「2週間前申請」「給付金手続き」など重い手続きが必要になり、過剰です。
| 用途 | 制度 | 取得目安 |
|---|---|---|
| 内科の定期通院 | 介護休暇 | 半日(4時間) |
| ケアマネ面談 | 介護休暇 | 1〜2時間 |
| 役所での申請手続き | 介護休暇 | 2〜3時間 |
パターン2:要介護認定の申請から在宅サービス開始まで
おすすめ:介護休業(第1回・3〜4週間)+ 介護休暇(時間単位の補強)
親が倒れたあとの要介護認定の申請、ケアプラン作成、事業所との契約、自宅の住宅改修。ここまで進めるにはまとまった2〜4週間が必要です。介護休業の第1回として使うのがセオリーです。
要介護認定の流れは以下の記事で詳しく解説しています。
→ 介護保険認定の受け方 — 申請から認定までの流れと必要書類
パターン3:施設探しと入所準備
おすすめ:介護休業(第2回・30日前後)
特別養護老人ホームや介護老人保健施設は申し込みから入所まで時間がかかります。見学・面談・契約・入所準備を進めるには、平日に動ける期間が必要です。介護休業の第2回として30日程度確保しておくと、焦らず候補を比較できます。
施設費用の現実については、こちらの記事で年金別シミュレーションを掲載しています。
→ 介護施設の費用は年金だけで足りる?国民年金・厚生年金別シミュレーション
パターン4:状態急変・看取り期
おすすめ:介護休業(第3回・残日数すべて)
医師から「あと数週間〜数か月」と告げられた段階で、残日数を第3回として一気に取得するのが現実的です。看取り期は仕事との両立がきわめて難しい時期。給付金(67%)を受け取りながら親に専念できる介護休業の意義が、最も大きく出る場面です。
パターン5:介護休業を使い切った後の継続的な通院対応
おすすめ:介護休暇(年5日 or 10日)
介護休業93日を使い切った後も、定期通院や役所手続きは続きます。介護休暇は毎年度リセットされるため、継続的な短時間対応に活用できます。介護休業との重複期間に介護休暇を取ることもできますが、休業中は会社に出勤していないため実質的には不要です。
まとめ:使い分けチャート
5つのパターンを1枚の表にまとめます。状況に合わせて選んでください。
| シーン | 推奨制度 | 期間目安 |
|---|---|---|
| 月数回の通院付き添い | 介護休暇(時間単位) | 1〜4時間×5日 |
| 退院後の在宅準備 | 介護休業(第1回) | 3〜4週間 |
| 施設探し・入所準備 | 介護休業(第2回) | 30日前後 |
| 看取り期 | 介護休業(第3回) | 残日数すべて |
| 休業後の通院対応 | 介護休暇(年単位) | 年5〜10日 |
仕事と介護の両立を制度面から幅広く整理した記事はこちらです。
→ 介護と仕事の両立 — 使える制度と職場との伝え方完全ガイド
申請の流れと注意点
制度を「知っている」と「実際に使える」の間にはギャップがあります。申請の流れを最後に整理します。
介護休業の申請手順
- 対象家族が「常時介護を必要とする状態」かを確認(要介護2以上、または厚労省の12項目基準で2つ以上該当)
- 会社の人事部 or 直属上司に口頭で相談(書面提出前の事前相談)
- 介護休業申出書を提出(開始予定日の2週間前まで)
- 給付金の手続きはハローワークへ会社経由で申請
介護休暇の申請手順
- 当日の朝でも可(会社により所定様式あり)
- 口頭申出が認められる会社が多いが、後日書面確認を求められることもある
- 時間単位で取りたい場合は、就業規則上の取扱いを事前確認
不利益取り扱いを受けたら
介護休業申請したら同期より昇進が遅れた。明らかに介護理由って分かってたから労働局に相談したら、会社にちゃんと指導入って評価が修正された。泣き寝入りしなくてよかった。 — Xユーザー(会社員・40代男性)2026年2月
育児・介護休業法第16条・第16条の7で、介護休業・介護休暇取得を理由とする解雇・降格・減給・配置転換などの不利益取り扱いは禁止されています。万が一そのような扱いを受けた場合は、以下に相談できます。
- 都道府県労働局 雇用環境・均等部(室) — 無料・匿名相談可
- 総合労働相談コーナー — 全国の労働基準監督署内に設置
出典: 厚生労働省「都道府県労働局雇用環境・均等部(室)所在地一覧」
あわせて読みたい
- 介護休業の取り方完全ガイド — 93日を「3回に分けて」使う賢い方法
- 介護離職して後悔した人・しなかった人 — 12人のリアルな声から見えた分岐点
- 介護と仕事の両立 — 使える制度と職場との伝え方完全ガイド
まとめ
介護休業と介護休暇は、名前が似ているだけで、まったく別の制度です。
この記事のポイントを振り返ります。
- 介護休業(93日)は「体制づくり」 — 3回分割可、給付金は賃金の67%、退院後準備や看取り期に
- 介護休暇(年5日)は「日常対応」 — 時間単位OK、通院・役所・ケアマネ面談などに
- 両方は別カウント — 休暇を使い切っても休業93日には影響しない
- 両方を組み合わせて使う — 5パターンで状況別に使い分けが可能
- 不利益取り扱いは法律で禁止 — 万が一のときは労働局に相談
「介護休暇しかない」「介護休業はうちの会社にはない」と諦めていた方も、両方とも法律で全企業に義務付けられた権利です。まずは就業規則の「介護休暇」「介護休業」の項目を確認し、人事部に「事前相談したい」と一声かけることから始めてみてください。
その小さな一歩が、仕事を辞めずに親の介護に向き合うための、最初の備えになります。
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