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帰省で確認する親のお金と書類の90日ロードマップ
帰省で確認する親のお金と書類の90日ロードマップ
「電話では元気そうなのに、通帳や保険がどこにあるのか、実は何も知らない」——離れて暮らす親のことで、そんな不安を抱えていませんか。
東京で働く田村理恵さん(51歳・仮名)は、新幹線で3時間離れた実家に一人で暮らす母(80歳)のことが気がかりです。帰れるのは盆と正月くらい。母は今のところ身の回りのことはできていますが、かかりつけ医の名前も、加入している保険も、年金がどの口座に入っているかも、理恵さんは知りません。母に聞こうとすると「まだ大丈夫よ」とはぐらかされ、そのままになっています。
この記事は、田村さんのように「親の身体はまだ元気そうだけれど、もしもの時に必要な”情報”を何も確認できていない」あなたのために書きました。親の食事や歩き方といった身体・認知の変化の見方は、別記事のお盆帰省で高齢の親の異変に気づく6チェックと90日ロードマップにまとめています。本記事はそれと対になる、「お金・書類・医療・人・本人の意思」という情報の棚卸しに絞って、帰省でやるべきことと90日の段取りを整理します。
「何から確認すればいいか分からない」まま帰省する前に。あなたの実家の状況を、3分で整理できます。
3分で介護負担チェック → あなたの状況に合った相談先Part 1. 「元気そうだった」——でも、確認できていないことはありませんか
まず知ってほしいのは、親の変化は少しずつではなく、ある日突然、目に見える形で表れることがあるという点です。そしてそのときには、本人の口から大切なことを聞けなくなっていることがあります。
作家の阿川佐和子さんが、認知症になった母親に直面したときの心情が、報道で紹介されています。
「もう昔の母には戻らない」もの忘れが増え、娘の名前もわからない……阿川佐和子さんが直面した『認知症の母に起きた異変』 — 阿川佐和子さんの体験(文春オンライン報道)2026年5月
「娘の名前もわからない」。ここまで進むと、通帳の場所も、保険のことも、どう暮らしたいかという希望も、本人に確認するのは難しくなります。だからこそ、まだ話せる今のうちに、聞いておく必要があります。
情報の確認は、身体の観察と違って「見ればわかる」ものではありません。冷蔵庫の中身は帰省中に目で見て気づけますが、年金の振込口座や生命保険の有無は、本人に聞くか書類を一緒に探すかしないと分かりません。だから帰省という「直接会える時間」が、情報確認では決定的に重要になります。
親の状況を一人で抱えて不安なとき、まず何から動けばいいかを整理したいなら、地域の無料窓口に相談できます。
→ 地域包括支援センターを探す(厚生労働省 公式・無料)Part 2. 帰省で確認する「情報チェックリスト」5分野
ここが記事の中心です。帰省中に確認したいのは、次の5分野です。このチェックリストは、身体の観察とは違い、本人に聞くか一緒に探すかしないと分かりません。すべてを一度に聞き出す必要はありません。「金額」や「管理」ではなく、まずは**「どこにあるか」「誰に連絡すればいいか」**を共有するのがコツです。
| 分野 | 帰省中に確認すること | なぜ今、確認するのか |
|---|---|---|
| ①健康・医療 | かかりつけ医・持病・常用薬(お薬手帳)・直近の受診歴・アレルギー | 救急搬送のとき、家族が答えられないと処置や情報共有が遅れる |
| ②お金 | 年金や預貯金がどの銀行の口座か/通帳・印鑑・キャッシュカードの保管場所/加入している保険/毎月の固定費 | 判断能力が下がると、本人以外は口座を動かせなくなることがある |
| ③書類 | 健康保険証・介護保険被保険者証・マイナンバーカード・年金手帳・保険証券・不動産や借入の有無 | 「どこにしまってあるか」を共有するだけで緊急時に困らない |
| ④人(連絡先) | 緊急連絡先・近所のキーパーソン・民生委員・親しい友人・主治医の連絡先 | 遠方の家族の代わりに、日常を気にかけてくれる人を把握する |
| ⑤本人の意思 | どこで・どう暮らしたいか/延命や終末期の希望/お金の使い方/施設への考え | 元気なうちにしか、本人の言葉では聞けない |
介護保険被保険者証は65歳以上の人に交付され、要介護認定やサービス利用の際に必要になる大切な書類です。「うちの親、そういえばどこにしまったか分からない」という家庭は珍しくありません。今回の帰省で場所を確認し、写真に撮っておくだけでも、いざというときの動き出しが速くなります。
なお、身体や物忘れといった「変化のサイン」の見方は本記事では扱いません。そちらは高齢者の一人暮らしの限界サイン7つで7項目に整理しているので、情報チェックとあわせて確認してください。②お金の分野に関連して、帰省の時期は還付金詐欺なども増えるため、高齢の親を狙う詐欺の対策も一度目を通しておくと安心です。
「うちの親の場合、何を優先して確認すべき?」を中立的に整理したいときは、介護のミカタの個別相談(クローズドβ)も利用できます。ご家族の費用負担は0円です。
→ 介護のミカタ 個別相談(月3名限定・費用0円)Part 3. 「まだ元気だから」で後回しにすると詰む3つのこと
「まだ元気だから、そのうち聞けばいい」。その気持ちはよく分かります。ただ、次の3つは、判断能力が下がってからでは手遅れになりやすい部分です。ここは多くの記事が触れないところなので、先に共有します。
① 預貯金の口座が動かせなくなる
認知症などで本人の判断能力が低下すると、金融機関は本人を保護するために預貯金の引き出しや解約などの取引を制限することがあります。そうなると、家族であっても自由には動かせず、成年後見制度を利用して後見人を選任する必要が出てくる場合があります。申立てには数か月と費用がかかります(法務省)。だからこそ、元気なうちに「どの銀行に口座があるか」を把握し、必要なら金融機関の代理人の届出などの選択肢を本人と相談しておくと安心です。
② 契約や解約が本人の意思確認で止まる
施設の入居契約、保険の見直し、使っていないサブスクの解約——こうした手続きは、原則として本人の意思確認が必要です。判断能力が下がった後だと、家族が代わりに進めるのが難しくなり、手続きが一気に煩雑になります。契約関係も「今どんな契約があるか」を早めに棚卸ししておくのが得策です。
③ 医療・介護の希望を、本人の言葉で聞けなくなる
「延命治療をどうするか」「最期はどこで過ごしたいか」。こうした重い問いは、元気なうちは切り出しにくいものです。ただ、本人が意思表示できなくなってから家族が推測で決める負担は、想像以上に重くのしかかります。近年は「人生会議(ACP)」として、本人・家族・医療介護者で希望を話し合っておく取り組みも広がっています。今回の帰省で結論を出す必要はありません。「もしもの時、どうしたい?」と一度雑談で触れておくだけでも、後の家族の迷いが減ります。
なお、こうした介護サービスの自己負担額は制度改定の影響を受けます。介護報酬は2026年6月に改定されたばかりで、訪問系サービスや加算の見直しも行われています。帰省後に訪問介護や見守りを検討するときは、最新の自己負担額を地域包括支援センターで確認してください。
今夜どうしても不安で誰かに話を聞いてほしいときは、24時間つながる無料の窓口があります。
→ よりそいホットライン 0120-279-338(24時間・無料・匿名)Part 4. 帰省を起点にした「情報整理の90日ロードマップ」
帰省でありがちな失敗は、「その場で全部聞き出そうとして、親を身構えさせてしまう」ことです。数日の滞在で情報も気持ちも一気に整理するのは無理があります。
そこで提案したいのが、帰省を真ん中に置いた90日ロードマップです。帰省前に準備し、帰省中に確認し、帰省後に家族で共有して仕組み化する。この3ステップに分ければ、遠距離でも、年に数回の帰省でも無理なく進められます。
| 時期 | やること | ねらい |
|---|---|---|
| 帰省前(約1か月前〜) | 5分野の「聞くこと・見る場所」をリスト化/兄弟に「今回これを確認したい」と共有/親が住む地域の地域包括支援センターの場所を調べる | 帰省を「確認の場」に変える準備 |
| 帰省中(滞在の数日) | 5分野をさりげなく確認し、場所は写真・メモで記録/雑談の中で本人の希望を聞く/責めない・急がない | 事実を持ち帰る(その場で決めない) |
| 帰省後(〜90日) | 家族で情報を共有し役割を分担/不足はあとから電話で補完/地域包括支援センターに一度相談/見守りや緊急連絡を仕組み化/必要なら要介護認定を申請 | 気づきを、継続的な支えに変える |
ポイントは、**帰省中に「決めない」**ことです。役割は「確認して、事実を持ち帰る」まで。判断は帰省後に、家族や専門職と一緒に行います。帰省後の継続的な支え方は、遠距離介護のコツは「4本柱」で仕組み化の方法をまとめています。
Part 5. 一人で抱えない——兄弟で分担し、やってはいけない切り出し方を避ける
情報を確認できても、それを一人で抱え込むと、今度はあなた自身が消耗します。在宅介護の負担の実態を示すデータがあります。
親の在宅介護を行う就労世代の約9割が、自身のリフレッシュや休息のための時間を「十分に確保できていない」と回答 — Xユーザー(PR TIMESビジネス・株式会社SOYOKAZE調査の発信)2026年5月
介護サービス事業を展開する株式会社SOYOKAZEが2026年5月に公表したこの調査(約9割=47.9%+33.0%+8.5%)は、働きながら親を支える人の多くが、すでに休む余力を失っていることを示しています。だからこそ、帰省で得た情報は「あなただけが持っている状態」にせず、家族で共有して分担することが欠かせません。
一方で、良かれと思ってやると逆効果になる切り出し方もあります。次の3つは避けてください。
- いきなり結論を迫る — 「そろそろ施設とか考えてる?」と切り出すと、親は「追い出される」と身構えます。まずは「もしもの時に私が困らないよう、通帳や保険がどこにあるかだけ教えて」と、家族側の不安を主語にする。
- お金を問い詰める・管理を取り上げる — 金額を問い詰めたり通帳を預かろうとしたりすると、親は尊厳を奪われたと感じます。「把握」と「管理」は分けて、まずは場所の共有だけにとどめる。
- 兄弟に相談せず一人で決める — 情報を独り占めして勝手に進めると、後で不信やトラブルの元になります。確認した情報は、必ず兄弟・家族で共有する。
兄弟で意見が割れそう、あるいは相談できる家族がいない——そんなときは、第三者に中立的に整理してもらうのも一つの方法です。
→ 介護のミカタ 個別相談(クローズドβ・費用0円)あなたの次の一歩
帰省は、離れて暮らす親の「情報」を、本人の口から確認できる数少ない機会です。健康・お金・書類・人・本人の意思の5分野チェックリストを手に、帰省前に準備し、帰省中に「場所と連絡先」だけでも確認し、帰省後に家族で共有して仕組み化する。この90日の段取りがあれば、「まだ大丈夫」で先送りにして後悔することも、いざというときに慌てることもなくなります。
大切なのは、確認を「問い詰め」ではなく「もしもの備え」として伝えること。そして、あなた一人で抱え込まないこと。迷ったら、まず地域の窓口に電話するだけで、状況は動き始めます。
- → あなたの地域の地域包括支援センターを探す(厚生労働省 公式・無料・全国約5,400ヶ所)
- → LINEで「実家の情報整理 7日メール」を受け取る(無料/帰省前に確認したいことが7日で届きます)
- → 介護のミカタ 個別相談(クローズドβ・月3名限定・費用0円)(お金も施設も含めて中立的に整理したい方へ)
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- 遠距離介護のコツは「4本柱」|月1帰省・見守り・配食・ケアマネで仕組み化 — 遠方から支え続けるための段取り
参考・出典
- 厚生労働省「地域包括支援センターの概要」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/
- 法務省「成年後見制度・成年後見登記制度」 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji17.html
- 厚生労働省「介護・高齢者福祉(介護保険制度・要介護認定・2026年6月介護報酬改定)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/
- 株式会社SOYOKAZE「在宅介護に関する調査」(2026年5月・PR TIMES発表、就労世代の約9割が休息時間を確保できていないと回答)