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認知症のBPSD(周辺症状)への対応7つのコツ — 介護家族のリアルな実践例

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「またあの妄想か…」介護家族の本音

母が「財布盗まれた」って毎日泣いて電話してくる。盗ってないって言っても聞かない。つい怒鳴ってしまった日は自己嫌悪で眠れない。これがBPSDってやつか… — Xユーザー(会社員・50代女性)2026年4月

物盗られ妄想・徘徊・興奮・介護拒否——認知症の方のこうした症状に振り回され、家族介護者が心身ともに削られていくケースは少なくありません。これらは医学的に BPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia:認知症の行動・心理症状) と呼ばれます。「一日中振り回されてもう限界」と感じているあなたは、決してひとりではありません。

知っておきたいのは、BPSDが 対応の工夫で頻度や強度を下げられる と研究で示されている点です。本記事では、家族介護者が今日から試せる対応のコツを、医療ガイドラインと経験者の声をもとにまとめました。

この記事でわかること:

  • BPSDとは何か(中核症状との違い)
  • BPSDが起きる4つの引き金
  • 家族介護者が実践できる7つの対応のコツ
  • 専門職に相談すべきタイミング

BPSDとは — 中核症状との違いを整理する

BPSDは認知症そのものではなく「環境や対応で変わる二次的な症状」です。

認知症の症状は、大きく2種類に分けられます。

種類内容特徴
中核症状記憶障害・見当識障害・判断力低下・実行機能障害脳の損傷による必発症状
BPSD(周辺症状)不安・妄想・徘徊・興奮・抑うつ・介護拒否全員に出るわけではない/環境で変わる

中核症状は脳の変化そのものから生じるため、対応や薬で大きく改善するものではありません。一方のBPSDは不安・痛み・環境の刺激などが引き金となって出るため、対応次第で和らぐ可能性があります

出典: 厚生労働省「認知症施策の総合的な推進について」

BPSDの代表的な症状

家族が直面しやすいBPSDには、次のようなものがあります。

  • 物盗られ妄想(「財布を盗まれた」と訴える)
  • 徘徊(一人で外に出てしまう)
  • 興奮・暴言(声を荒げる、手が出る)
  • 不安・抑うつ(落ち込み、無気力)
  • 幻覚(見えないものが見える)
  • 介護拒否(入浴・着替え・服薬を嫌がる)
  • 昼夜逆転(夜中に活動する)

日本神経学会のガイドラインでは、BPSDは 介護負担の最大要因 とされ、在宅介護の限界点・施設入所のきっかけになりやすいと指摘されています。

出典: 日本神経学会「認知症疾患診療ガイドライン2017」


BPSDが起きる4つの引き金 — まず原因を疑う

BPSDは「認知症だから出る」のではありません。何らかの引き金が背景にある ことがほとんどです。代表的な引き金は次の4つです。

引き金1: 身体の不調・痛み

便秘、脱水、発熱、虫歯、関節痛、尿路感染など。本人が「痛い」「気持ち悪い」と言葉で伝えられないと、興奮や徘徊として表現されることがあります

「急にBPSDが悪化した」と感じたら、まず身体の異変を疑うのが鉄則です。

引き金2: 環境の変化

引っ越し、ヘルパーの変更、模様替え、入院、季節の変わり目。慣れた環境からの変化は、見当識障害を悪化させ、不安や混乱を誘発します。

引き金3: 不適切なコミュニケーション

否定、訂正、せかし、怒鳴り。本人にとっては「何が起きているかわからない」状況に置かれているため、強い口調で接すると恐怖や反発につながります。

引き金4: 介護者の余裕のなさ

介護者の表情・声のトーンは、認知症の方に強く伝わります。介護者がイライラしていると、本人もイライラする という負のループが生まれます。

訪問看護の方に「お母さんが怒るのは、あなたが疲れてるサインかもしれませんよ」と言われてハッとした。私が深呼吸するだけで、母も落ち着くようになった。 — Xユーザー(パート勤務・50代女性)2026年3月


BPSDへの対応7つのコツ — 今日から実践できること

引き金を踏まえたうえで、家族介護者が実践しやすい対応を7つにまとめました。すべて完璧にやろうとせず、1つずつ取り入れる ことから始めてください。

コツ1: 否定しない・訂正しない

「財布なんて盗まれてない!」と否定すると、本人は 「家族に裏切られた」 という感情を強めます。代わりに「困ったね、一緒に探そう」と寄り添う言葉を使うと、興奮が収まりやすくなります。

見つけたあとも、「ほら、あなたが置き忘れてたんでしょ」ではなく「ここにあったよ、よかったね」と本人の自尊心を守る言い方が有効です。

コツ2: 環境を整える(安心できる空間に)

慣れたものを目に入る場所に置く、明るい照明を保つ、騒音を減らす。夕方以降に混乱が強まる「夕暮れ症候群」 が出る方には、室内を明るく保つだけで落ち着くケースもあります。

家族写真や使い慣れた湯呑みなど、本人が安心できるアイテムを近くに置く工夫も効果的です。

コツ3: 生活リズムを安定させる

毎日同じ時間に起きる・食べる・寝る。リズムが乱れるとBPSDが悪化しやすくなります。「いつもどおり」が最大の薬 と言われるゆえんです。

デイサービスを週数回入れると、リズムを安定させやすくなります。

コツ4: 体調と痛みを早めにチェック

便秘、脱水、口の中の痛み、皮膚のかゆみは見落とされやすい引き金です。急にBPSDが悪化したら、まず身体の異変を疑う のが鉄則です。かかりつけ医や訪問看護師に早めに相談しましょう。

コツ5: 共感的に応答する(バリデーション)

「不安なんだね」「悲しい気持ちなんだね」と、感情そのものを言葉にして返します。論理で説得するのではなく 感情に寄り添う ことで、本人は「わかってもらえた」と感じます。

これはアメリカで開発された バリデーション療法 の基本姿勢として、日本の認知症ケアにも広く取り入れられています。

コツ6: 介護者自身が休む

介護者の疲労は、確実にBPSDに影響します。レスパイトケアやショートステイを 「使ってもいいもの」ではなく「使うべきもの」 として最初から組み込みましょう。

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コツ7: 専門職にすぐ頼る

ケアマネジャー、訪問看護、認知症初期集中支援チーム、認知症疾患医療センター。頼れる先は1人ではありません。複数の専門職をチームに巻き込むことで、家族の負担は確実に減ります。

出典: 厚生労働省「認知症初期集中支援チームの概要」


専門職に相談すべきタイミング

「もう少し様子を見よう」と踏ん張ってしまう家族は多いものです。ただ早めの相談ほど選択肢が広がります

こんなときは早めに相談を

  • 介護者が 眠れない・食べられない 状態が1週間以上続く
  • 本人に 暴力・自傷 が出始めた
  • 徘徊 で行方不明になりそうになった
  • 介護者に 「いなくなってほしい」 という気持ちが浮かぶ

これらは「我慢して様子を見る」段階を超えています。地域包括支援センターか、認知症疾患医療センターへ電話してください。相談はすべて無料 です。

相談先の使い分け

相談先役割費用
地域包括支援センター介護全般の総合相談窓口無料
ケアマネジャー在宅サービスのコーディネート介護保険でカバー
認知症初期集中支援チーム医療・介護の専門職が訪問対応無料
認知症疾患医療センター専門医による診断・治療健康保険適用

出典: 厚生労働省「認知症疾患医療センター運営事業」

母の妄想がひどくて限界だったとき、地域包括に電話したら認知症初期集中支援チームを紹介された。チームが訪問してくれて、薬と対応の工夫で1ヶ月後には別人みたいに穏やかになった。あの電話が分岐点だった。 — Xユーザー(自営業・60代男性)2026年4月


介護者の心が折れそうなときに

BPSDの介護で最もつらいのは、介護者自身が壊れていく感覚 です。

自分を責めないでいい

「怒鳴ってしまった」「冷たくしてしまった」——介護者なら誰もが経験する感情です。あなたが悪いのではなく、1人で24時間抱え込む仕組み に無理があるのです。サービスを増やし、専門職に頼ることで、状況は変わります。

同居以外の選択も検討してよい

24時間の在宅介護が前提ではありません。グループホーム、介護老人保健施設、特別養護老人ホームなど、施設という選択肢を 罪悪感なく検討してよい のです。

本人にとっても、専門職による24時間ケアの方が安心して過ごせるケースは多くあります。

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まとめ

BPSD(行動・心理症状)は、認知症そのものではなく 環境と対応で変わる二次的な症状 です。

この記事のポイントを振り返ります。

  1. 中核症状とBPSDは違う — BPSDには引き金がある
  2. 4つの引き金を意識する — 身体不調・環境変化・コミュニケーション・介護者の余裕
  3. 7つの対応のコツ — 否定しない/環境を整える/リズム/体調確認/共感/介護者が休む/専門職を頼る
  4. 限界を感じる前に相談を — 地域包括・認知症初期集中支援チーム・認知症疾患医療センター

完璧な対応をしようとすると、介護者が先に倒れます。「7割対応できればいい」 くらいの気持ちで、専門職とチームを組んで乗り切ってください。

今日できることは、親の住む地域の地域包括支援センターの電話番号をスマートフォンに登録すること。その小さな一歩が、あなたと親を守る力になります。

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