褥瘡(床ずれ)予防マットレスの選び方 — 体圧分散の仕組みと5製品比較
PR この記事にはアフィリエイト広告が含まれています。
褥瘡は「防げる傷」— でも正しいマットレス選びが必要
介護の現場はほんとに過酷です。ぼくが介護の仕事を始めた20年前から、確実に介護職に就く人は減り続けてるし、業務なんて、“なんとか回してる”ってだけで。 — Xユーザー(介護歴20年のベテラン)2026年3月
褥瘡(じょくそう)は、一般的に「床ずれ」と呼ばれ、身体の同じ部分が長時間圧迫されることで皮膚や皮下組織が損傷する状態です。寝たきりの高齢者にとって深刻な合併症であり、一度発生すると治療に数ヶ月を要することもあります。
日本褥瘡学会「褥瘡予防・管理ガイドライン」によると、療養型施設入所者の褥瘡発生率は約2.7%で、在宅介護でも同様のリスクがあります。しかし、適切な体圧分散マットレスを使用し、定期的な体位変換を行えば、褥瘡の発生リスクを大幅に低減できます。
この記事では、褥瘡予防マットレスの種類と選び方を、体圧分散の仕組みから解説します。介護保険でのレンタル方法も紹介します。
この記事でわかること:
- 褥瘡が発生する仕組みと予防の基本原則
- 体圧分散マットレスの3つの種類と特徴
- 利用者の状態に合わせた選び方のポイント
- 介護保険でのレンタル方法と費用
褥瘡が発生する仕組み — なぜマットレスが大切なのか
褥瘡は、体重による圧力が特定の部位に集中し、その部分の血流が途絶えることで発生します。
褥瘡が起きやすい部位
- 仰臥位(仰向け): 仙骨部(お尻の中央)、かかと、後頭部、肩甲骨
- 側臥位(横向き): 大転子部(腰の骨の出っ張り)、くるぶし、膝の内側
- 座位: 坐骨部(座面と接する骨の部分)
褥瘡発生の4大因子
| 因子 | 内容 |
|---|---|
| 圧力 | 体重が局所に集中する |
| ずれ | ベッドのギャッジアップ時に皮膚がずれる |
| 湿潤 | 発汗・失禁で皮膚がふやける |
| 栄養不良 | 皮膚の修復力が低下する |
体圧分散マットレスは、このうち**「圧力」と「ずれ」**に対して直接的な効果を発揮します。体重を広い面積に分散させることで、局所にかかる圧力を安全なレベルまで下げる仕組みです。
「親の介護で足腰がボロボロです」家族介護者の中には、身体に異変が起きてから自分の疲れや限界に気づく人もいる。身体介護は介護サービスで負担の軽減を。 — Xユーザー(LIFULL介護編集長・老人ホーム探し著者)2025年11月
介護者自身の負担軽減のためにも、適切な福祉用具の導入は有効です。
体圧分散マットレスの3つの種類
褥瘡予防マットレスは、大きく分けて3種類あります。日本褥瘡学会および「ディアケア」(アルメディアWEB)の分類に基づいて解説します。
種類1: ウレタンフォームマットレス(静止型)
特徴: 高密度のウレタンフォーム素材で、体の形に合わせて沈み込むことで体圧を分散します。電源不要でメンテナンスが少なく、安定性が高いのが特徴です。
| 項目 | 評価 |
|---|---|
| 体圧分散性 | ★★★☆☆ |
| 安定性(寝返り・座位保持) | ★★★★★ |
| メンテナンス | ★★★★★(電源不要) |
| 月額レンタル料目安(全額) | 3,000〜6,000円 |
おすすめの方: 自力で寝返りが打てる方、ベッド上で座位を取る時間が長い方
種類2: エアマットレス(圧切替型)
特徴: エアセルに空気を送り込み、一定時間ごとに圧力を切り替えることで体圧を分散します。日本褥瘡学会ガイドラインでは、褥瘡予防に**推奨度1B(強く推奨)**とされています(「褥瘡予防・管理ガイドライン」)。
| 項目 | 評価 |
|---|---|
| 体圧分散性 | ★★★★★ |
| 安定性(寝返り・座位保持) | ★★☆☆☆ |
| メンテナンス | ★★★☆☆(電源・ポンプ必要) |
| 月額レンタル料目安(全額) | 5,000〜10,000円 |
おすすめの方: 自力での寝返りが困難な方、既に褥瘡がある方、要介護4〜5の方
注意点: エアマットレスは体が揺れるような感覚があるため、めまいや酔いを感じる方もいます。また、マットレスが柔らかすぎて端座位(ベッドの端に座る姿勢)が取りにくくなるデメリットもあります。
種類3: ハイブリッド型(ウレタン+エア)
特徴: ウレタンフォームの安定性とエアセルの体圧分散性を組み合わせたタイプです。体幹部にエアセル、端はウレタンで安定させるなど、部位によって素材を使い分けています。
| 項目 | 評価 |
|---|---|
| 体圧分散性 | ★★★★☆ |
| 安定性(寝返り・座位保持) | ★★★★☆ |
| メンテナンス | ★★★☆☆ |
| 月額レンタル料目安(全額) | 6,000〜12,000円 |
おすすめの方: 日中は座位を取るが夜間は寝返りが難しい方、中等度の褥瘡リスクがある方
実は多くの医療従事者が勘違い!?エアマットの適切な選び方。要介護4〜5の人には、柔らかめのエアマットやジェルマットに注目し、介護者の負担を減らしたい場合は、自動体位変換機能がおすすめ。 — 皮膚科専門医(医療従事者向け情報サイト)2026年3月
利用者の状態に合わせた選び方フローチャート
以下のフローに沿って、適切なマットレスタイプを判断できます。
判断ポイント1: 自力で寝返りが打てるか?
- 打てる → ウレタンフォームまたはハイブリッド型
- 打てない → エアマットレスまたはハイブリッド型
判断ポイント2: 既に褥瘡があるか?
- ない(予防目的) → ウレタンフォームでも対応可能
- ある(治療も必要) → エアマットレス推奨
判断ポイント3: ベッド上での活動は?
- 座位を取ることが多い → 端が安定したハイブリッド型
- ほぼ臥床(寝ている状態) → エアマットレス
判断ポイント4: 体重は?
- 40kg未満 → 圧力設定の調整幅が大きいエアマットレスが安全
- 40〜80kg → すべてのタイプで対応可能
- 80kg超 → 耐荷重に注意。高耐荷重モデルを選定
まとめ表
| 利用者の状態 | おすすめタイプ |
|---|---|
| 要介護1〜2、寝返り可能 | ウレタンフォーム |
| 要介護2〜3、寝返りやや困難 | ハイブリッド型 |
| 要介護3〜5、寝返り不可 | エアマットレス |
| 褥瘡あり(治療中) | エアマットレス(医師の指示に従う) |
福祉用具全般の選び方については介護保険で使える福祉用具の一覧も参考にしてください。
介護保険でのレンタル方法と費用
褥瘡予防マットレスは、介護保険の「床ずれ防止用具」としてレンタル対象です。
利用条件
- 原則として要介護2以上の方が対象
- 要支援・要介護1の方でも、医師の意見書があれば例外給付が可能
- ケアマネジャーがケアプランに組み込む
費用の目安(自己負担)
| マットレスタイプ | 月額レンタル料(全額) | 1割負担 | 2割負担 |
|---|---|---|---|
| ウレタンフォーム | 3,000〜6,000円 | 300〜600円 | 600〜1,200円 |
| エアマットレス | 5,000〜10,000円 | 500〜1,000円 | 1,000〜2,000円 |
| ハイブリッド型 | 6,000〜12,000円 | 600〜1,200円 | 1,200〜2,400円 |
レンタルまでの流れ
- ケアマネジャーに褥瘡リスクがあることを伝える
- ケアマネが福祉用具貸与事業所を手配
- 福祉用具専門相談員が自宅を訪問し、利用者の状態を確認
- 適切なマットレスを提案・デモ機で試用
- 契約・納品(即日〜数日)
デモ機での試用は必ず行ってください。 カタログの性能だけでなく、実際の寝心地や介護のしやすさを確認することが大切です。
介護費用全般については介護費用の月額平均と内訳で解説しています。
マットレス以外の褥瘡予防策
マットレスは褥瘡予防の柱ですが、それだけでは不十分です。以下の対策を組み合わせて、総合的に予防しましょう。
体位変換
2時間ごとの体位変換が基本です。体圧分散マットレスを使用していれば、4時間程度まで間隔を延ばせる場合もありますが、利用者の状態や使用マットレスの性能によって異なるため、訪問看護師や医師に確認してください。
栄養管理
皮膚の修復にはタンパク質・ビタミンC・亜鉛が必要です。食事量が少ない場合は栄養補助食品の活用も検討しましょう。嚥下が難しい方の食事については嚥下食の作り方で解説しています。
皮膚の清潔と保湿
失禁がある場合は速やかにおむつ交換を行い、皮膚の湿潤を防ぎます。入浴後は保湿剤を塗り、皮膚のバリア機能を維持しましょう。
シーツのしわ除去
シーツのしわやたるみは、局所的な圧力やずれの原因になります。シーツはピンと張った状態を保つようにしてください。
介護業界も低賃金・汚い・夜勤でリズム狂う・腰や膝を壊すと散々言われますが、やりがいも少なからずありますけどね。 — Xユーザー(介護経験者)2026年4月
介護の現場で褥瘡予防に日々取り組んでいる方々の努力は、利用者の生活の質を直接支えています。
まとめ — 適切なマットレス選びで褥瘡を防ぐ
褥瘡は適切な予防策を講じれば、発生リスクを大幅に下げられます。体圧分散マットレスの選定は、その中核となる対策です。
まず取り組んでほしいのは、担当ケアマネジャーに「褥瘡の予防をしたい」と伝えることです。ケアマネが福祉用具専門相談員を手配し、利用者の状態に合ったマットレスをデモ機で試用させてくれます。介護保険を活用すれば、自己負担は月額数百円からです。
褥瘡は一度できると治療に時間がかかり、利用者の苦痛も大きくなります。「まだ大丈夫」と思っているうちの予防が最善です。
介護ベッドのレンタルについては介護ベッドのレンタルガイド、在宅介護全般の限界サインについては在宅介護の限界サインもあわせてご覧ください。入浴介助の方法は入浴介助の方法と注意点で解説しています。