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介護リフトの種類と選び方 — 床走行式・据置式・天井走行式・スタンディング・入浴用を比較

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移乗介助で腰を壊す前に——介護リフトという選択肢

「親の介護で足腰がボロボロです」家族介護者の中には、身体に異変が起きてから自分の疲れや限界に気づく人もいる。ここまで追い込まれると共倒れや「こんな事になったのは介護のせいだ」とストレスから虐待に発展するケースも。家族の代わりは誰にもできない。身体介護は介護サービスで負担の軽減を。 — 小菅秀樹(LIFULL介護 編集長)2025年11月29日

ベッドから車いすへ、車いすからトイレへ——介護のなかで一日に何度も繰り返される「移乗介助」は、介護者の腰にもっとも負担がかかる動作です。厚生労働省「職場における腰痛予防対策指針」でも、介護・看護作業による腰痛は職業性疾病として最多を占めると示されています。

出典: 厚生労働省「職場における腰痛予防対策指針」

介護リフトは、この移乗動作を機械で支える福祉用具です。ただ「リフト」とひとくくりに言っても、床を移動するもの・天井のレールを走るもの・立ち上がりだけ補助するもの・入浴専用のものなど、用途も価格帯もまったく違います。

この記事でわかること:

  • 介護リフト5種類の機能・費用・向いている方
  • 要介護度別の推奨タイプ
  • 介護保険のレンタル対象と購入対象の使い分け
  • 導入までのステップとケアマネジャーへの相談ポイント

介護リフトの5種類 — 何ができる機器なのかで選ぶ

介護リフトは大きく分けて以下の5タイプがあります。「どこに設置するか」「立位を保てるか」「入浴に使うか」の3軸で考えると選びやすくなります。

タイプ別 機能比較表

種類設置方法移動範囲主な対象者介護保険費用相場(月額レンタル/購入)
床走行式リフトキャスター付きで自由移動部屋内+ドア通過可全介助・要介護4〜5レンタル対象月1,500〜2,500円
据置式リフトベッド脇など定位置に固定ベッド⇔車いすなど短距離全介助・要介護3〜5レンタル対象月1,500〜3,000円
天井走行式リフト天井レール設置(工事)レール沿いに広範囲全介助・要介護4〜5住宅改修+本体は購入or別途工事込み30〜80万円
スタンディングリフト床置き式立ち上がり〜短距離移動部分介助・要介護2〜4レンタル対象月2,000〜3,500円
入浴リフト(バスリフト等)浴槽縁または天井設置浴槽内のみ入浴介助時の負担軽減購入対象(特定福祉用具)8〜20万円(保険適用後9割支給)

出典: 厚生労働省「介護保険における福祉用具」品目区分および各レンタル事業者の公開料金表(2026年4月時点)を基に編集部調査

床走行式リフト — もっとも汎用的なタイプ

キャスター付きの本体にアーム(吊り具を吊るす腕)が付いた構造で、部屋から部屋へ押して移動できます。スリング(吊り具)で身体を持ち上げ、ベッド→車いす→トイレなど複数の場所へ移乗できる点が強みです。

  • メリット: 1台で複数の移乗場面をカバー。工事不要
  • デメリット: 本体に幅と回転半径が必要。狭い住宅では取り回しに難
  • 向いている方: 部屋・トイレ・浴室など複数地点で移乗が必要な方

据置式リフト — ベッド脇に置く専用機

ベッド横や車いすの定位置にフレームを置き、その範囲内だけで吊り上げ移乗を行うタイプです。床走行式より省スペースで、操作も比較的シンプル。

  • メリット: 狭い部屋でも設置可能。価格が比較的安い
  • デメリット: 移動範囲が限られる(ベッド⇔車いすなど一区間)
  • 向いている方: 移乗場面が固定されている方。介護者が高齢で押す力に不安がある方

天井走行式リフト — 介助負担が最も小さい本格仕様

天井にレールを敷設し、そのレールに沿ってリフト本体が走行します。床にキャスターがないため、家具の配置に左右されず、介助者は身体を支える力をほとんど使いません。

  • メリット: 介護者の身体的負担が最小。動線の自由度が高い
  • デメリット: 天井補強・レール設置工事が必要。集合住宅は管理組合の承諾要
  • 向いている方: 終末期まで在宅で過ごす予定で、長期的に投資価値がある方

スタンディングリフト — 「立ち上がり」だけを補助

完全に吊り上げるのではなく、利用者が膝を伸ばす力を残している場合に、ベルトと足板で立位を保ちながら短距離を移動するタイプです。残存機能を活かせるため、リハビリ的な意味合いもあります。

  • メリット: 利用者の自立感を保てる。介助者の引き上げ動作が不要
  • デメリット: 膝・体幹がまったく支えられない方には使えない
  • 向いている方: 要介護2〜4で、立位の保持に介助が必要な方

入浴リフト — 浴槽またぎ動作の負担を解消

浴槽の縁に設置するバスリフトや、天井走行式と組み合わせる入浴専用リフトなど。浴室は転倒リスクが住宅内で最も高く、入浴介助は介護労働実態調査でも常に負担上位に挙がる場面です。詳しい比較は介護入浴リフトおすすめ4選で解説しています。


介護保険の「レンタル」と「購入」の境界線

福祉用具には「レンタル」と「購入」があります。介護ベッドや車いすは、介護保険で「レンタル」すると1割~3割負担(購入する場合は全額自費)です。一方で、シャワーチェアやポータブルトイレなどお風呂トイレ用品は介護保険(1割~3割負担)で「購入」できます。 — 藤本将和(介護家族を支える/福祉情報発信者)2025年9月13日

介護リフトの場合、本体はレンタル対象吊り具(スリング)と入浴用リフトは特定福祉用具購入費の対象——というのが基本ルールです。

レンタル対象(福祉用具貸与)

  • 床走行式リフト本体
  • 据置式リフト本体
  • スタンディングリフト本体
  • 天井走行式リフトの本体ユニット(レール工事は別扱い)

→ 介護保険1〜3割負担で月額レンタル。原則要介護2以上が対象です(要支援1〜2・要介護1は軽度者例外給付の対象を除き全額自費)。

出典: 厚生労働省「福祉用具貸与の対象種目」

購入対象(特定福祉用具販売)

  • 吊り具(スリング)部分
  • 入浴用リフト・バスリフト

年間10万円を上限に、自己負担1〜3割で購入できます。受領委任払いの自治体なら最初から1〜3割支払いだけで済むケースも。

住宅改修費(天井走行式の工事部分)

天井レールの設置工事は介護保険の住宅改修費として申請できる場合があります。生涯上限20万円の枠内で、自己負担1〜3割。ただし住宅改修扱いになるかは自治体・ケアマネジャーの判断によるため、必ず事前に確認してください。


要介護度・住環境別の選び方 — 4つの判断軸

軸1: 利用者の身体状況

状態推奨リフト
立位の保持が一部可能スタンディングリフト
立位保持は不可だが座位は保てる据置式または床走行式(座位保持型スリング)
座位も保てない(全介助)床走行式または天井走行式(仰臥位対応スリング)
入浴時のみ介助負担が大きい入浴リフト(単独またはセット)

軸2: 住宅環境

  • 廊下・部屋の幅が広く、複数地点で移乗 → 床走行式
  • 移乗ポイントが固定(ベッド脇のみ等)→ 据置式
  • 賃貸・工事不可 → 据置式 or 床走行式 or スタンディング
  • 持ち家・長期在宅予定・天井強度OK → 天井走行式を検討

軸3: 介助者の体力・年齢

人員不足の日の介護現場は、戦場になる。普段なら2人で行う移乗を1人でやらなければならない。休憩時間なんて当然なくなる。記録は後回し。気づけば「今日もサービス残業か」とため息が出る。「人が足りない日」は利用者さんの安全も脅かされる。転倒や誤薬のリスクが高まるからだ。 — 麦マネ(介護現場経験者)2025年9月19日

施設でも「1人移乗」がリスクであることは現場の声から明らかです。在宅で介助者が高齢配偶者や女性ひとりの場合は、押す力・回転動作の少ない据置式や天井走行式が安全です。床走行式は便利ですが、利用者を吊った状態で押すには一定の体力が要ります。

軸4: 想定使用期間

  • 短期(半年以内) → レンタルで十分。床走行式・据置式
  • 中長期(1年以上) → 累計費用を比較。天井走行式は3〜5年で回収する試算が一般的
  • 終末期在宅 → 天井走行式+電動ベッドの組み合わせが介助負担を最小化

導入までのステップ — ケアマネジャーへの相談から

  1. ケアマネジャーに相談: 現在の介助場面を具体的に伝える(何回/日、誰が、どこで)
  2. 福祉用具専門相談員のアセスメント: レンタル事業者の専門相談員が自宅を訪問し、住環境と身体状況を評価
  3. 試用(デモ): 多くの事業者が無料デモを提供。実際にスリングを装着して試す
  4. ケアプランへの位置付け: ケアマネジャーが福祉用具貸与をケアプランに記載
  5. 契約・搬入: レンタル契約締結、納品設置、操作説明
  6. モニタリング: 月1回程度の相談員訪問でフィット感を再評価

失敗を避けるための3つの確認

  • スリングのサイズ: SS〜LLまで体格別。試用時に介助者・利用者の両方が違和感を確認
  • 充電方式とバッテリー時間: 電動式は充電忘れで使えない事態が発生
  • 緊急時の手動操作: 停電・バッテリー切れ時に手動で降ろせるかは安全上の必須項目

代表機種の比較イメージ

具体的な機種はケアマネジャーと福祉用具専門相談員が住環境に合わせて選定します。代表的なメーカー・機種例は以下のとおりです。

機種カテゴリ代表メーカー例想定レンタル月額(1〜3割負担後)
床走行式モリトー、いうら、ミクニライフ&オート約1,500〜2,500円
据置式ミクニライフ&オート、つるべーS約1,500〜3,000円
天井走行式TOTO、モリトー(つるべー)、サンレックス工事込みで別途見積
スタンディングモリトー、サンエス約2,000〜3,500円
入浴リフトTOTO、パラマウントベッド購入8〜20万円(保険適用)

※費用は2026年4月時点の事業者公開価格を基にした概算。正確な金額は福祉用具レンタル比較ガイドや地域のレンタル事業者でご確認ください。


次の一歩 — リフトを「特別なもの」だと思わないために

リフトの導入をためらう家族の声で最も多いのが「親に申し訳ない」「自分が頑張れば済む」というものです。けれど移乗で腰を壊した介助者が共倒れになる前に、機械でできることは機械に任せる選択肢があります。

今日からできる3ステップ:

  1. ケアマネジャーに「移乗が大変になってきた」と一言伝える
  2. 福祉用具専門相談員にデモ依頼(多くは無料)
  3. 1〜2週間試用してから本契約

腰痛になる前の予防的な導入が、結果として介護期間を長く穏やかに保つ近道です。介護全般の負担軽減策は介護負担を減らす制度・サービスまとめ、移乗動作のコツは移乗介助のコツもあわせて参考にしてください。


まとめ — 5タイプから「住環境×身体状況×介助者」で1つを選ぶ

介護リフトは「床走行式・据置式・天井走行式・スタンディングリフト・入浴リフト」の5タイプ。本体は介護保険でレンタル(1〜3割負担)、吊り具と入浴リフトは特定福祉用具購入費の対象です。

選び方は①利用者の立位保持力 ②住環境(移動範囲・工事可否)③介助者の体力 ④使用期間の4軸で絞り込むと迷いません。まずはケアマネジャーに現在の移乗回数と困りごとを具体的に伝え、福祉用具専門相談員の無料デモを試すところから始めてみてください。


FAQ

Q1. 介護リフトは要介護何度から使えますか?

A. 介護保険でレンタルできるのは原則要介護2以上です。要支援1〜2・要介護1の方は、医師の医学的所見に基づく軽度者例外給付の対象となるケースを除き、原則として全額自費となります。詳しくはケアマネジャーまたは地域包括支援センターにご確認ください。

Q2. 賃貸住宅でも天井走行式リフトを設置できますか?

A. 工事を伴うため、賃貸住宅では大家・管理会社の承諾が必要です。退去時の原状回復も論点になります。賃貸の場合は床走行式・据置式・スタンディングのいずれかが現実的な選択肢となります。

Q3. 介護リフトとスリング(吊り具)は別料金ですか?

A. はい。本体(リフト本体)はレンタル対象、スリング(吊り具)は特定福祉用具購入費の対象となるのが一般的です。スリングは衛生用品の側面があるため購入扱いとなります。年間10万円の購入費上限内で、1〜3割負担で購入できます。

Q4. 操作が不安です。家族でも安全に使えますか?

A. レンタル事業者の福祉用具専門相談員が操作説明と定期的な再評価を行います。初回操作の練習は介助者全員で受け、緊急時の手動下降方法も必ず確認してください。不安が残る場合は、訪問介護員と組み合わせて使う設計をケアマネジャーと相談する方法もあります。

Q5. 入浴リフトだけを買うことはできますか?

A. はい。入浴用リフト・バスリフトは特定福祉用具購入費の対象で、年間10万円を上限に1〜3割負担で購入できます。本体の床走行式リフトをレンタルしている場合でも、入浴リフトは別途購入する形が一般的です。


本記事は介護のミカタ編集部が作成しました。介護リフトの選定は住環境・身体状況・介助者の状況により個別に異なります。具体的な機種選定・介護保険適用の可否は必ずケアマネジャーまたは福祉用具専門相談員にご相談ください。

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