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認知症の進行ステージ別GPS見守り端末5機種 — 初期・中期・後期で変わるひとり歩き対策

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「まだ大丈夫」が、一番見逃しやすいタイミング

私の亡くなった父は認知症(中度)でした。車で出かけてなかなか帰って来なくなって認知症に気がついた。同じ事を何度も何度も聞く、怒りっぽくなる…他人に迷惑かけて良い訳ではないけど、優しい世の中になりますように。 — Xユーザー(認知症の父を介護した経験者)2026年1月

ご本人が「いつもと違う場所で帰れなくなった」その時、初めて家族は気づきます。けれど、認知症のひとり歩きは「ある日突然」始まるのではなく、ステージごとに少しずつ姿を変えながら進んでいきます。

警察庁の統計では、認知症が原因で行方不明になった方は2023年に 19,039人(前年比330人増)で、統計開始以来の過去最多を更新しました(出典: 警察庁「令和5年における行方不明者の状況」 https://www.npa.go.jp/publications/statistics/safetylife/fumei.html )。10年前(2013年・10,322人)と比べて1.8倍以上に増えています。

GPS見守り端末は備えとして有効ですが、「とりあえず5機種から選ぼう」では足りません。ご本人の認知症の進行ステージで、適した端末は変わる——この記事では、初期・中期・後期の3ステージそれぞれに最適な端末の選び方を、5機種を比較しながら整理します。

この記事でわかること:

  • 認知症の進行3段階で、ひとり歩きリスクと必要なGPS機能がどう変わるか
  • 5機種の比較表+ステージ別の推奨度マトリクス
  • 「持ち歩いてもらえない」を防ぐステージ別の具体策
  • 自治体補助の活用と地域包括支援センターへの相談手順

認知症の進行3段階とひとり歩きリスクの変化

ひとり歩きは中期に最も増えると言われますが、初期・後期それぞれに固有のリスクがあります。ステージごとの特徴を整理します。

初期(軽度認知障害〜軽度認知症)

  • 日付や曜日が分かりにくくなる、買い物の支払いに迷う、最近の出来事を忘れる
  • 道は基本的に覚えているが、行き先を間違える・帰り道で短時間迷うことがある
  • 本人に病識(自覚)が残っているケースが多く、対話で備えを始められる時期

このステージで導入を検討すべきGPSの機能:

  • 本人がストレスなく携帯できる小型・軽量設計
  • 家族と本人が「位置共有」できる双方向アプリ
  • 緊急通報ボタン(本人が押せる)

中期(中等度認知症)

  • 自宅に帰れなくなる、夕方になると落ち着かなくなる(夕暮れ症候群)、過去の習慣(通勤など)の行動を取ろうとする
  • 着替え・食事に介助が必要になり、見当識(時間・場所の認識)が大きく低下する
  • ひとり歩きの発生件数が最も増えるステージ。家族の負担も急増する時期

このステージで必要なGPSの機能:

  • 行動学習AI(普段と違うルート・時間に通知)
  • 長時間電池(充電を本人に頼れなくなる)
  • 端末を「外されにくい」形状(キーホルダー型・靴装着型)

後期(重度認知症)

  • 会話が成立しにくくなる、歩行が不安定、嚥下が難しくなる
  • 自力での長距離歩行は減るが、夜間・短距離のひとり歩きが残るケースもある
  • 「端末を持つこと自体を理解できない」状態。家族が完全に管理する形に移行

このステージで必須となるGPSの機能:

  • 靴装着・衣類縫い込みなど、本人が意識しなくても身につく形状
  • 基地局・WiFiを併用した屋内測位(自宅内・施設内での位置把握)
  • 家族複数人での位置共有(介護分担)

介護職って、 限界が来てから 初めて気づく人が多い。 腰を壊してから。 メンタルが折れてから。 夜勤が怖くなってから。 でも本当は、 「まだ大丈夫」と思っている 今が一番の分かれ道。 — Xユーザー(介護現場発信者・麦マネ)2026年1月

介護職向けの発信ですが、この「まだ大丈夫が分かれ道」という構造は、家族の認知症介護にもそのまま当てはまります。初期段階のうちに端末を選んでおくと、中期以降の判断負荷が大きく下がります。

厚生労働省の「認知症施策推進大綱」でも、認知症の方のひとり歩きへの対応として ICT機器の活用 が明記されており、家族・地域・行政が一体となった備えが推奨されています(出典: 厚生労働省「認知症施策推進大綱」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000076236_00002.html )。


5機種比較表 — ステージ別の推奨度マトリクス

代表的なGPS見守り端末5機種を、料金・電池持ち・精度・形状で整理し、進行ステージ別の推奨度を加えました。

5機種の基本スペック比較

製品名形状月額(税込)初期費用電池持ち位置精度主な特徴
ココセコム携帯型990円〜5,500円約1ヶ月高(GPS+基地局)緊急通報ボタン付き/セコム駆けつけサービス連携可
どこシル伝書鳩キーホルダー型528円5,280円約1ヶ月中(基地局+BLE)自治体連携で地域住民の見守りネットワーク対応
GPS BoT(ビーサイズ)小型端末528円5,280円約1ヶ月高(GPS+WiFi+基地局)AIが行動を学習し、普段と違うルートで通知
iTSUMO(アイツモ)靴装着型1,100円要問合せ約1ヶ月中(GPS+基地局)靴のインソール下に装着/本人が外しにくい
みまもりサービス by au携帯型539円端末代別途約2週間高(GPS+WiFi+基地局)au回線で広いカバレッジ/家族の位置共有も可能

※ 料金は2026年5月時点の各社公式サイト掲載情報をもとにしています。最新の料金・サービス内容は必ず公式サイトでご確認ください。

出典:

認知症進行ステージ別 推奨度マトリクス

製品名初期中期後期主な理由
ココセコム緊急通報ボタンを本人が押せる初期向き。後期は操作が難しい
どこシル伝書鳩鍵を持ち歩く習慣が残る中期に最適。自治体連携で地域全体の見守り強化
GPS BoTAI行動学習で「普段と違う行動」を検知。初期〜中期に強い
iTSUMO靴装着型のため、端末を意識しない中期〜後期で唯一無二
みまもりサービス by au家族複数人位置共有が初期向き。電池持ち2週間は中期以降にはやや短め

◎=最適 / ○=推奨 / △=条件付き

各製品の認知症対応特性

ココセコム — 初期で本人が「自分で押せる」緊急通報

緊急通報ボタンを本人が押せる設計のため、まだ判断力が残っている初期に有効です。セコムへの駆けつけサービスを月額で追加でき、行方不明時に家族の代わりに現場対応してもらえます。後期は本人がボタンの意味を理解しにくくなるため、家族の能動的な位置確認に切り替える必要があります。

どこシル伝書鳩 — 中期に最強の「地域ネットワーク連携」

自治体(200以上の市区町村)が導入しており、地域住民や協力店舗のスマホがすれ違うとシステムが自動的に位置を検知します。中期で行動範囲がやや広がる時期に、家族だけでは追いきれない位置情報を地域全体でカバーできる仕組みは唯一無二です。

GPS BoT — AI学習で「普段と違う」を検知

ビーサイズ社のAIがご本人の普段の行動パターン(自宅→デイサービス→公園など)を学習し、普段と違うルート・時間帯に外出すると家族のスマホに自動通知が届きます。初期〜中期で「いつもと違う行動が増えてきた」段階に強い端末です。

iTSUMO — 中期〜後期で「外されない」唯一の選択肢

靴のインソール下に装着する独自設計のため、ご本人が端末の存在を意識しにくく、外したり捨てたりするリスクが大幅に下がります。中期以降に「端末を持たせても外してしまう」家族にとって、現実的にほぼ唯一の選択肢になります。複数の靴を履く方は複数台が必要になる点に注意。

みまもりサービス by au — 家族複数人での「分担見守り」

au回線を利用しており、家族複数人で位置共有ができるアプリ設計が特徴です。「お母さんだけ監視されている」と感じさせない構造のため、初期で本人と相談しながら導入する家族向け。電池持ちが約2週間とやや短いため、毎週の充電習慣を組める家庭向けです。


ステージ別「持ち歩いてもらう」3つの工夫

端末の選定と同じくらい重要なのが、ご本人に持ち続けてもらう仕組みです。ステージごとに対応が変わります。

初期 — 本人と一緒に選ぶ・話し合う

このステージでは病識が残っているため、**「お父さんが安心して外を歩けるようにしたい」**と率直に伝えて一緒に端末を選ぶのが最も効果的です。「監視のため」ではなく「お互いの安心のため」という言葉で伝わるタイミングです。

家族全員でアプリの位置共有を設定し、「みんなでやっているんだよ」と伝えると受け入れやすくなります。

中期 — 自然に身につく形状を選ぶ

このステージでは「端末を持つ」という意識自体が薄れます。鍵を持ち歩く習慣が残っていればどこシル伝書鳩のキーホルダー型、お守りやアクセサリーを身につける習慣があればGPS BoTを専用ケースに入れる方法が有効です。

「監視されている」と感じさせないことが最大のポイント。アプリの通知音が本人のスマホで鳴らない設定にする、家族のスマホだけで位置を確認するなど、見守り側の運用も配慮が必要です。

後期 — 靴型・分散配置・自治体ネットワーク併用

このステージでは、端末を持つこと自体を本人に頼れません。iTSUMOの靴装着型を主軸にしつつ、上着のポケットやバッグの底にも2台目を分散配置するご家庭もあります。

加えて、自治体のSOSネットワーク(行方不明時に地域に一斉通知)への登録、警察への事前情報登録(顔写真・服装の特徴)、近隣住民や民生委員への声かけ——この3つを並行して整えておくと、万が一の発見確度が大きく上がります。


自治体補助制度の活用 — 月額無料になる可能性も

多くの市区町村が認知症高齢者向けのGPS端末貸与・補助金制度を設けています。 見落としがちですが、家計負担を抑える上で最初に確認すべき情報源です。

例えば東京都世田谷区では、認知症の方を介護する家族に対してGPS端末の利用料を月額無料で提供する事業を実施しています(出典: 世田谷区「認知症高齢者等見守りGPS事業」 https://www.city.setagaya.lg.jp/mokuji/fukushi/index.html )。同様の事業は東京都北区・大阪市・横浜市・名古屋市などでも実施されています。

確認方法:

  1. お住まいの市区町村の 地域包括支援センター に電話で問い合わせる(最も早い)
  2. 「認知症 GPS 補助金 ○○市」で検索し自治体ページを確認する
  3. 自治体公式が見つからない場合は、市役所の高齢者福祉課へ電話する

地域包括支援センターは介護保険や認知症介護に関する無料相談窓口です。GPS端末の補助だけでなく、要介護認定の申請、デイサービスや訪問介護の紹介、家族の負担軽減策まで包括的に相談に乗ってもらえます。


次の一歩 — 進行ステージに応じた3ステップ

ステージごとに「いま動くべき1歩」が変わります。

認知症と診断された/その疑いがある場合(初期段階)

  1. 地域包括支援センターに電話し、自治体GPS補助制度を確認する
  2. 本人と一緒にGPS端末を選び、家族全員で位置共有設定を組む
  3. 要介護認定の申請を進める(端末選びと並行)

すでにひとり歩きが始まっている場合(中期段階)

  1. iTSUMOまたはどこシル伝書鳩を即時手配(外されにくい形状を優先)
  2. 自治体のSOSネットワークに登録(多くの市区町村で無料)
  3. 警察に事前情報登録(顔写真・服装・特徴を最寄り交番に届ける)

後期段階で施設入居を検討している場合

  1. iTSUMOなど靴装着型で「外出検知」体制を維持
  2. 気になる施設をまとめて比較する / 認知症対応型グループホーム・介護付き有料老人ホームの資料一括請求
  3. 地域包括支援センターと連携し、入居までの在宅介護負担軽減策を整理

ひとり歩きへの備えは、「まだ大丈夫」と思えるうちに始めるのが理想です。GPS端末は外出そのものを防ぐ機能はありませんが、何かあったときに30分以内に発見できる確度を大きく高めてくれます。ご本人の安全とご家族の心の安定のために、まずは情報収集の一歩から始めてみてください。


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