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親の通帳の管理、どうする?介護で揉めない家族ルール5つ

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「親の通帳、誰がどう管理する?」が介護の最初の関門

「親の介護で足腰がボロボロです」家族介護者の中には、身体に異変が起きてから自分の疲れや限界に気づく人もいる。ここまで追い込まれると共倒れや「こんな事になったのは介護のせいだ」とストレスから虐待に発展するケースも。家族の代わりは誰にもできない。身体介護は介護サービスで負担の軽減を。 — Xユーザーの声(LIFULL介護 編集長・小菅秀樹さん)2025年11月

介護が始まった直後、多くの家族が最初につまずくのが「親の通帳の管理」です。

介護サービスの支払い、施設の月額費用、福祉用具のレンタル料、医療費、紙おむつ代——。親の口座から毎月数万円〜十数万円が出ていきます。

その通帳を、誰が・どうやって・どんなルールで管理するのか

何も決めずに走り出すと、「使い込みじゃないの?」とのきょうだい疑惑、親の認知症進行による口座凍結、相続時のもめごとと、想定外のトラブルが次々と起こります。

この記事では、親の通帳管理で揉めないための5つのルールと、認知症が進む前にやっておくべき制度活用を整理しました。

この記事でわかること:

  • 親の通帳を子が預かることの法的位置づけ
  • 「使い込み疑惑」「口座凍結」が起きる仕組みと予防策
  • 揉めない通帳管理5ルール
  • 代理人カード・任意後見・家族信託の使い分け
  • 介護費用が足りない場合の制度活用

親の通帳を子が管理する家庭は、決して少なくない

「親の通帳を預かるなんて、後ろめたい気がする」——そう感じる方もいるでしょう。

でも、データを見ると、この後ろめたさは過剰反応かもしれません。

総務省「2024年 家計調査(家計収支編・無職世帯)」によると、65歳以上の単身無職世帯の月間支出は約14万8,000円、夫婦のみ無職世帯では約25万6,000円。 出典: 総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)2024年」

ここに介護サービス費用が上乗せされます。生命保険文化センター「2024年度 生命保険に関する全国実態調査」では、在宅介護の月額平均は5.3万円、施設介護では13.8万円。介護期間の平均は55.0カ月(4年7カ月)。 出典: 生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」

つまり、施設介護なら月額40万円前後の支出が4年以上続く家庭も珍しくありません。本人がATMに行けない、判断が難しい、入院中——こうした状況では、子が通帳を管理する以外に選択肢がなくなります。

「介護費用は思った以上にかかる」のリアル

実際、介護の現場では「想定の倍以上の出費」を実感する家族が多数います。

介護支援で紙おむつの交換をお願いすると、1回30分3000円。 1日に朝夕2回で6000円 1か月30日で18万円 1年365日で219万円 介護って、たいへん。 — Xユーザーの声(しもじさん)2025年9月

ここまで極端でなくとも、デイサービス・訪問介護・福祉用具レンタル・通院タクシー・食事配達など、介護が始まると毎月の支出項目は10種類以上になります。

これを家族の誰か1人が立て替え続けるのは現実的ではありません。親自身の通帳から払う仕組みを早めに整える必要があります。

→ 介護にかかるお金の全体像は介護費用の平均と月額目安で詳しく確認できます。


通帳管理で起こりがちな3つのトラブル

通帳管理で発生しやすいトラブルは、大きく3つに整理できます。

トラブル1: きょうだい間の「使い込み疑惑」

もっとも多いのが、親と同居して介護している子と、遠方のきょうだいとの間の不信感です。

「毎月いくら使っているのか教えてもらえない」「介護のためと言いながら自分の生活費にも使っているのでは」——記録と報告がなければ、こうした疑念は自然に生まれます。

相続が発生したタイミングで通帳が出てきて、「使途不明な引き出しがある」と訴訟に発展するケースも少なくありません。

トラブル2: 認知症進行による口座凍結

親が認知症と診断された後、金融機関が本人の意思確認ができないと判断すると、口座からの出金や解約が制限されます(いわゆる「口座凍結」)。

凍結後は、施設費用の引き落としすら止まることがあり、家族が立て替え払いせざるを得ない状況に陥ります。解除には成年後見人の選任が必要で、申立てから後見人決定まで通常2〜4カ月かかります。

出典: 全国銀行協会「金融取引の代理等に関する考え方および銀行界の対応について」

トラブル3: 介護方針の対立がお金の問題に転化

「在宅で頑張れるはず」と主張する子と、「施設に入れるべき」と主張する子の対立が、お金の使い道の対立に化けるケースもよくあります。

「施設費用は出さない」「在宅サービスは贅沢」——本来は介護の方針の議論なのに、通帳の支出明細が攻撃材料になってしまうのです。

RP 認知症+糖尿病とか、認知症+精神疾患とか… 施設でもケアが本当に大変なので、在宅でご家族をみている方の心労は察して余りある。本当にご苦労さまです。 罪悪感なく専門家にお任せしていいと思います。 — Xユーザーの声(モヒカンさん・介護現場経験者)2026年3月

専門家に任せる選択肢は「逃げ」ではありません。施設利用や在宅サービスの導入は、親の通帳から堂々と支払うべきものです。お金の使い方に罪悪感を持つ必要はありません


揉めない通帳管理5つのルール

ここからが本題です。家族で揉めずに親の通帳を管理する5つのルールを紹介します。

ルール1: 家族会議で「管理する人」を1人に決める

まず大前提として、管理する人は1人に絞ることが鉄則です。複数人で触ると、誰がいつ引き出したかが追えなくなります。

決め方のポイントは以下です。

  • 同居/近居している子を優先(窓口やATMに行きやすい)
  • 時間に余裕がある子を優先(記録・報告の手間がかかる)
  • 金銭面で生活に困っていない子を優先(疑念を生まないため)

決定は親本人の同意が必須です。親が元気なうちに、本人の口から「〇〇に通帳の管理をお願いする」と意思表示してもらいましょう。可能なら**録音や書面(委任状)**を残しておくと、後々のトラブル時に強い証拠になります。

ルール2: 介護関連の支出はすべて記録する

通帳を預かる以上、1円単位での記録が義務です。

おすすめの記録方法は以下の3つです。

方法コストメリットデメリット
家計簿アプリ(マネーフォワードME等)無料〜月500円自動連携で楽銀行連携の設定が必要
エクセル/Google Sheets無料自由度が高い手入力の手間
介護費用ノート(紙)500円程度きょうだいに郵送しやすい集計が面倒

レシートはすべて保管し、引き落とし内訳はネットバンキングの明細をPDF保存しておくと万全です。

ルール3: 月1回のきょうだい報告を仕組み化する

記録があっても、共有しなければ疑念は晴れません

LINEグループや共有Google Driveを作り、毎月月末に「先月の収支報告」を全きょうだいに送るルールを最初に決めましょう。

報告フォーマット例:

  • 月初残高 / 月末残高
  • 収入(年金等)の内訳
  • 主な支出(介護サービス、施設費、医療費、生活費)
  • 残高の推移グラフ

「報告したくない」と感じるなら、それは管理者を変えた方がいい兆候です。透明性こそが信頼の土台になります。

→ 介護費用の分担で揉めないコツは介護費用のきょうだい分担ルールもあわせて参照してください。

ルール4: 代理人カードを発行する

意思能力があるうちにできる手続きで最もコストが低く効果が高いのが、代理人カードの発行です。

代理人カードとは、親本人と同行して銀行窓口で発行する、子名義のキャッシュカード。1日の引き出し上限は本人カードと共有ですが、ATMから子の名前で出金できます。

項目内容
発行費用無料〜数百円(金融機関による)
必要書類本人確認書類、印鑑、通帳、代理人の身分証
引き出し上限銀行により異なる(通常50万円/日)
デメリット親の意思能力低下後は新規発行不可

「もう十分歳だから」と先送りせず、親が元気なうちに発行しておきましょう。

ルール5: 任意代理契約・家族信託を検討する

親の認知症が進む前にやっておきたいのが、任意代理契約(任意後見契約)または家族信託の準備です。

制度開始タイミング費用メリットデメリット
任意後見契約判断能力低下後公正証書約2〜3万円+後見監督人報酬月1〜3万円本人の意思を反映できる家庭裁判所の関与あり
家族信託契約時から設計・契約に30〜100万円程度柔軟な財産管理が可能初期費用が高い
法定後見判断能力低下後申立て1万円程度+後見人報酬月2〜6万円親が認知症発症後でも利用可家庭裁判所が後見人を選定

出典: 法務省「成年後見制度〜成年後見登記制度〜」

特養や有料老人ホームへの入所が視野に入る段階では、まとまった財産の移動が必要になります。法定後見になると家庭裁判所の許可が必要で、迅速な決定ができません。親が元気なうちの任意代理契約・家族信託が、家族の選択肢を残す鍵です。

→ 成年後見人の費用と手続きの詳細は成年後見人の費用と手続きで解説しています。


制度を知らないと損する「請求してはいけない費用」

通帳管理者として知っておきたいのが、施設や事業者が請求できない費用の存在です。

【特別養護老人ホームで「消耗品を誰が買うのか」問題になったら──】 老企第54号を思い出してほしい。 【結論】 特養で「おむつ代」や「パッド代」は、原則、利用者に請求できません。 ▼施設でかかる基本のお金 ・介護保険の自己負担(1〜3割) ・食費・居住費(ごはん代+家賃的なもの) — Xユーザーの声(のぶさん・福祉専門家)2025年5月

特別養護老人ホーム(特養)では、おむつ代・パッド代は原則として施設の介護報酬に含まれており、利用者請求は禁止されています(老企第54号通知)。

それを知らずに月数千円〜1万円を毎月支払い続けるケースがあります。通帳管理者は請求内訳を精査する役割も担います。明細書を毎月チェックし、不明な項目があれば施設に説明を求めましょう。

出典: 厚生省告示「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」(老企第54号)

高額介護サービス費の払い戻し申請を忘れない

介護保険サービスの自己負担額が月額上限を超えた場合、超過分は申請すれば払い戻されます(高額介護サービス費制度)。

区分月額自己負担上限
課税所得690万円以上14万100円
課税所得380万〜690万円未満9万3,000円
課税所得380万円未満(一般)4万4,400円
市町村民税世帯非課税2万4,600円
年金収入80万円以下等1万5,000円

出典: 厚生労働省「高額介護サービス費の支給」

初回は市区町村から申請書が郵送されますが、毎月の自動払い戻しではない点に注意。通帳管理者がチェックする項目に必ず入れましょう。

→ 自己負担の計算方法は介護保険の自己負担割合の計算方法で詳しく確認できます。


介護費用が「親の通帳だけでは足りない」と感じたら

親の年金と貯蓄だけで介護費用が賄えない場合、通帳管理者が一人で抱え込まないことが大切です。

まず確認したい3つの制度

  1. 高額介護サービス費(上記の月額上限)
  2. 特定入所者介護サービス費(食費・居住費の補足給付。所得が低い人ほど大幅減額)
  3. 自治体独自の助成(紙おむつ給付、住宅改修補助、介護タクシー助成等)

これらを市区町村の介護保険課で一気に確認しましょう。

きょうだい分担を仕組み化する

それでも不足する場合、介護専用口座を新規開設し、きょうだい全員で毎月一定額を入金する方式が透明性で優れます。

例:

  • 月3万円ずつ3人で出し合う → 月9万円のプール
  • 親の年金不足分を補填
  • 残額は次月繰越

「お金を出す人」「手を動かす人」で役割を分けるのも一つの方法です。

専門家への相談

家庭内で解決が難しい場合は、無料相談を活用しましょう。

窓口連絡先内容
地域包括支援センター市区町村ごと介護全般・無料
法テラス0570-078374法律相談・要件あり無料
よりそいホットライン0120-279-33824時間無料・生活相談
介護保険課市区町村窓口制度活用・無料
まもろうよ こころ厚労省ポータル心の相談窓口集約

まとめ — 親の通帳管理は「仕組みで信頼を守る」

親の通帳管理は、お金の話であると同時に家族の信頼の話です。

ルールがなければ、誰かが悪意なく管理しても疑念は生まれます。逆に、透明な仕組みがあれば、月数十万円が動いても誰も傷つきません。

今日できる最初の一歩は、以下の順序です。

  1. 親と話す——「介護費用の支払い、誰がどう管理するか」
  2. きょうだいに共有——LINEグループ等で報告ルール合意
  3. 代理人カード発行——次の親の通院の帰りに銀行へ
  4. 家計簿アプリ導入——マネーフォワードME等を設定
  5. 任意代理契約の相談——親が元気なうちに公証役場へ

遠距離でできることはたくさんあります。離れて暮らしているからこそ、仕組みで支える発想が活きます。

→ 離れて暮らす親をサポートする具体策は遠距離介護を3年続けてわかった’やってよかった’5つのこともあわせて参考にしてください。

困ったときは、ひとりで抱えず地域包括支援センターへ。親の住所の市区町村窓口で電話番号を教えてもらえます。電話だけでも相談できます。


本記事は2026年5月時点の情報です。制度・金額は改定される場合があります。最新情報は各公的機関のサイトでご確認ください。

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