介護保険の自己負担割合の計算方法 — 1割・2割・3割の判定基準
PR この記事にはアフィリエイト広告が含まれています。
約9割は1割負担——でも「計算方法」を知らないと2割・3割に驚くことに
母の介護保険の自己負担が急に2割になった。去年まで1割だったのに。年金額が変わったわけでもないのに、なぜ?計算の仕組みがわからなくて役所に電話したけど、説明が難しくて余計混乱した。 — Xユーザー(50代・母親の介護中)2026年3月
介護保険の自己負担割合は、本人の所得によって1割・2割・3割の3段階に分かれます。厚生労働省「介護給付費等実態統計」(令和5年度)によると、利用者の約90%が1割負担ですが、残りの約10%が2割または3割を負担しています。
問題は、判定基準の計算方法がわかりにくいこと。「年金額がいくらだから○割」という単純な計算ではなく、合計所得金額という独自の概念と、世帯構成による補正が入るため、自分のケースがどこに該当するか判断しづらいのが現実です。
この記事でわかること:
- 負担割合の判定基準と計算の流れ
- 4つのケース別シミュレーション
- 負担を軽くする高額介護サービス費の計算方法
判定基準の仕組み——2段階で計算する
結論として、負担割合の判定は**「ステップ1:本人の合計所得金額」と「ステップ2:世帯の年金収入+所得の合計」の2段階**で行われます。
ステップ1:本人の合計所得金額を計算する
合計所得金額は、次の計算式で求められます。
合計所得金額 = 年金収入 − 公的年金等控除額 + その他の所得
公的年金等控除額は年齢と年金収入額によって異なりますが、65歳以上の方の主な控除額は以下のとおりです。
| 年金収入 | 公的年金等控除額(65歳以上) |
|---|---|
| 330万円以下 | 110万円 |
| 330万円超~410万円以下 | 年金収入 × 25% + 27.5万円 |
| 410万円超~770万円以下 | 年金収入 × 15% + 68.5万円 |
出典: 国税庁「公的年金等の課税関係」(令和6年分)
計算例: 年金収入250万円(他の所得なし)の場合
- 合計所得金額 = 250万円 − 110万円 = 140万円
- → 160万円未満のため、1割負担
ステップ2:世帯の年金収入+所得で最終判定
ステップ1で合計所得金額が160万円以上になった場合、次に世帯の65歳以上全員の「年金収入+その他の合計所得金額」の合計で最終的な割合を判定します。
| 本人の合計所得金額 | 世帯の年金収入等(単身) | 世帯の年金収入等(夫婦) | 負担割合 |
|---|---|---|---|
| 220万円以上 | 340万円以上 | 463万円以上 | 3割 |
| 220万円以上 | 340万円未満 | 463万円未満 | 2割 |
| 160万円以上220万円未満 | 280万円以上 | 346万円以上 | 2割 |
| 160万円以上220万円未満 | 280万円未満 | 346万円未満 | 1割 |
| 160万円未満 | — | — | 1割 |
出典: 厚生労働省「利用者負担割合について」(介護保険制度の概要)
負担割合の仕組みを調べて計算してみたら、父は2割ギリギリのラインだった。ケアマネさんに相談したら「確定申告で医療費控除を申告すると合計所得が下がるケースもある」って教えてもらった。知らなかったら損してた。 — Xユーザー(40代・父親の在宅介護)2026年4月
4つのケースでシミュレーション——自分の場合を確認する
結論として、「年金収入がいくらか」だけでは割合は決まらず、世帯構成で大きく変わります。代表的な4ケースで計算してみましょう。
ケース1:国民年金のみの単身世帯(1割)
- 年金収入:78万円(老齢基礎年金の満額)
- 合計所得金額:78万円 − 110万円 = 0円(マイナスは0円とみなす)
- → 1割負担
月額のサービス利用例(要介護2):
- サービス費用 15万円 × 1割 = 月額自己負担 約15,000円
ケース2:厚生年金の夫婦2人世帯(1割)
- 夫:年金収入240万円 → 合計所得 130万円
- 妻:年金収入78万円 → 合計所得 0円
- 夫婦の年金収入等の合計:240万円 + 78万円 = 318万円
- 夫の合計所得が160万円未満 → 1割負担
ケース3:退職金や不動産収入がある単身世帯(2割)
- 年金収入250万円 + 不動産所得30万円
- 合計所得金額:250万円 − 110万円 + 30万円 = 170万円
- 160万円以上220万円未満 → 年金収入等の合計で判定
- 年金収入等の合計:250万円 + 30万円 = 280万円
- 単身280万円以上 → 2割負担
月額のサービス利用例(要介護2):
- サービス費用 15万円 × 2割 = 月額自己負担 約30,000円(1割の場合と比べて約15,000円増)
ケース4:企業年金が多い単身世帯(3割)
- 公的年金収入200万円 + 企業年金150万円
- 合計所得金額:(200万円 + 150万円) − 110万円 = 240万円
- 220万円以上 → 年金収入等の合計で判定
- 年金収入等の合計:350万円
- 単身340万円以上 → 3割負担
負担を軽くする計算——高額介護サービス費の仕組み
結論として、自己負担には月額上限があり、超えた分は申請すれば戻ってきます。2割・3割負担の方ほどこの制度の恩恵が大きくなります。
所得段階別の月額上限
| 区分 | 月額上限 |
|---|---|
| 課税所得690万円以上(年収約1,160万円以上) | 140,100円 |
| 課税所得380万円以上690万円未満 | 93,000円 |
| 課税所得380万円未満の一般世帯 | 44,400円 |
| 住民税非課税世帯 | 24,600円 |
| 年金収入80万円以下等 | 15,000円(個人) |
出典: 厚生労働省「高額介護サービス費の見直しについて」(制度概要)
計算例:2割負担で月15万円のサービスを利用した場合
- 自己負担額:15万円 × 2割 = 30,000円
- 一般世帯の上限:44,400円
- → 上限以内のため、払い戻しなし
計算例:2割負担で月25万円のサービスを利用した場合
- 自己負担額:25万円 × 2割 = 50,000円
- 一般世帯の上限:44,400円
- → 50,000円 − 44,400円 = 5,600円が払い戻される
申請の手順
- 上限を超えた月の約2ヶ月後に、市区町村から「支給申請書」が届く
- 必要事項を記入し、振込口座の情報とともに市区町村窓口に提出
- 初回の口座登録後は、2回目以降自動振込
注意: 申請は2年の時効があります。届いた書類はすぐに提出してください。
2割負担になってから月の介護費用が跳ね上がって家計がきつくなった。でも高額介護サービス費の申請をしたら月5,000円くらい戻ってきた。大きい金額じゃないけど、年間にしたら6万円。知ってるか知らないかでこんなに差が出るのかと。 — Xユーザー(50代・夫の介護中)2026年3月
次の一歩——自分の場合を計算してみる
負担割合の計算は、一度やってみると仕組みが見えてきます。
今日できること:
- 年金額を確認する: 年金振込通知書または「ねんきんネット」で年金収入を確認
- 合計所得金額を計算する: 年金収入 − 公的年金等控除額 + その他の所得
- 負担割合証と照合する: 計算結果と負担割合証の記載が一致するか確認
負担割合の基本を詳しく知りたい方は「介護保険の自己負担は1割・2割・3割のどれ?」をご覧ください。介護費用全体の平均額については「介護費用は月いくら?在宅・施設別の平均額」で解説しています。
費用負担が厳しい場合の公的制度は「介護のお金がない時に使える7つの公的制度」でまとめています。
介護施設の費用が気になる方は、無料で施設探しの相談ができるサービスの活用も選択肢です。
あわせて読みたい
- 介護保険の自己負担は1割・2割・3割のどれ?判定基準と負担を減らす方法
- おむつ交換の正しい方法 — 本人の尊厳を守りながら手早くケアする
- 褥瘡(床ずれ)予防マットレスの選び方 — 体圧分散の仕組みと5製品比較
あわせて読みたい
まとめ
介護保険の自己負担割合は「合計所得金額」と「世帯の年金収入+所得の合計」の2段階で判定されます。約90%の方は1割負担ですが、退職金や不動産収入、企業年金がある場合は2割・3割になるケースがあります。高額介護サービス費の申請を忘れなければ、月額上限以上の負担を軽減できます。まずは年金額と合計所得金額を確認し、自分のケースを把握することが、介護費用の不安を減らす第一歩です。
関連記事: